事なかれ主義の心理
問題対応能力に自信がない
すでにトラブルや問題が発生しているにも関わらず、それを隠蔽しようとする事なかれ主義の人の心理の一つが、「問題対応能力に自信がない」ということです。
現在起きているトラブルや問題に関して、自分自身が当事者であるときは、その処理に当たらなくてはなりません。
問題を解決するために、何らかの対応をする必要があるわけです。
経験豊富で、臨機応変の対応が可能な能力が自分自身にあるという自信があれば、事態を隠さず、問題解決のための対応に乗り出すことが可能なと思います。
事なかれ主義の人は、その自信がないのです。
「経験がなく、どう対応したらいいかわからない」ということと、「問題が大きすぎて、自分自身の処理能力ではとうてい対応しきれないと判断している」ということがありますが、いずれにしても、「自分自身には無理」と考えるわけです。
いくら「自分自身には無理」と思っても、自分自身が関わらざるを得ない問題である以上、とにかくその対応には当たらなくてはなりません。
しかし、自信がないために腰が引けてしまい、起こっている事態から目を背けていようとするのが、事なかれ主義の人の心理なのです。
当事者意識が希薄
起こっている問題に対し、経験がまったくなく、自分自身の能力にもそれほど自信がなくても、強い責任感のある人は事なかれ主義にはなりません。
「問題を解決可能なか自信はないけれど、自分自身は当事者なのなので、問題に対応する責任がある」と考えるため、勇気をもって事態に対応することが可能なわけです。
事なかれ主義の人には、そうした責任感がありません。
というのも、「当事者意識が希薄」という心理を持っているからです。
例を上げましょう。
会社のあるセクションに大きな対外的トラブルが発生したとしましょう。
トラブルの原因が一人のメンバーにあったとしても、対外的なトラブルである以上、そのセクションのリーダーは、問題解決のために対応する責任があります。
部長であれ課長であれ、リーダーであるからには、直接トラブルの原因にはなっていなくても、その責任を取る務めがあると考えていいと思います。
ところが、事なかれ主義のリーダーは、「トラブルを起こしたのは自分自身ではない。トラブル処理はその原因となった人がすべきだ」と考えてしまうのです。
まちがいなく当事者であるにも関わらず、その意識が希薄で、危機意識を持てないのが、事なかれ主義の人の一つの心理的特徴と言っていいと思います。
自分自身が傷つくのが怖い
事なかれ主義者の抱く心理の一つが「恐怖」です。
起こっている問題が表面化し、それが人から責められたときのことを想像し、そうした事態を「怖い」と感じ、「避けたい」と思うために、問題を隠蔽してしまうのです。
大変臆病な心理ですが、こうした心理を持つ人には、自己愛が強いという特徴があります。
自分自身のことが大好きで、自分自身が傷つくことを怖れるのです。
このときは、当事者意識ははっきりあります。
自分自身にはその問題解決に当たるべき責任があることもわかっています。
先ほどの例で言えば、「部下の起こしたトラブルでも、自分自身はリーダーとして責任を取らなければならない」ということはわかっているのです。
にもかかわらず、「対応した時、トラブルを起こして迷惑をかけた先方から責められ、傷つきたくない」という心理が働いてしまうために、問題を隠蔽してしまうのが、事なかれ主義の人の心理と考えていいと思います。
この心理を持つ人は、つい責任転嫁をしてしまいがちですが、その目的はあくまでも「自己防衛」です。
自分自身が傷つかないように、人に責任を押し付けるわけです。
そこにあるのは「恐怖から逃げたいという心理」と考えていいと思います。
他人と摩擦を起こしたくない
事なかれ主義は基本的に他人と面倒を起こしたくない気持ちが強いです。
その心理としては、やはり何事も穏便に過ごしたいというものからきています。
相手にも嫌な思いをさせたくないですし、自分自身も嫌な思いをしたくありません。
例をあげると会議のときなどは、その心理が強く出る傾向があります。
ちゃんとと自分自身の意見を持っていて、相手の話に納得ができないときがあったとしても、その人との関係を壊したくないといった思いから、その意見を押し殺して何も言わずに同調するといったことです。
本来の会議であれば、議論することが目的で集まっているので、お互いの意見をぶつけることは何も問題ありません。
しかし、何故か議論をして反対意見を言われると相手の人格すら否定したり、嫌いになったりすることが多々あるため、事なかれ主義はそれを未然に防ぐために、自分自身の意見は言わないのです。
事なかれ主義を改善する方法
本気になって物事に取り組む
事なかれ主義になってしまう原因は本来の目標を見失っていて、周りの人との関係だけを重視しているからです。
もちろんそれが人生の幸せだと感がているのであれば、そのままでいいと思います。
しかし、「もっと出世したい」「もっと結果をだしたい」「もっと認められたい」といった思いがあるのであれば、やはり事なかれ主義から脱却しなければいけません。
上記の会議の例を出しましょう。
相手の意見が自分自身と違うとき、相手に嫌われたくないという気持ちで同調してしまうのは、何のための会議かを全くと言っていいほど理解していません。
会議をする理由は、何かを直そうとしたり、目標達成をしようとするからです。
それを理解していれば、議論を交わして色々な意見が飛び交い、その結果ソリューションにつながることが本来の目的になることが理解可能なと思います。
その前の段階、つまり人間関係を気にしてしまう時点であなたはその仕事に対して前向きではないですし、本気にもなっていません。
会議に出るのだってお金がかかっていますので、それであれば他の仕事をやっていて、別の人に会議に出てもらったほうがよっぽど生産的と思います。
事なかれ主義を改善したいなら、本来の目的を見出して行動することが必要不可欠です。
目的を見いだせないのであれば、目標を見つけられるよう環境を変えるか、生産性を維持可能なようあなたはそのような場にいかないようにするべきと思います。
意見を言いやすい方法で伝える
みんなの前で意見を言うのは慣れていない人にとってはとてもハードルが高いものです。
なのでこそ自分自身の意見を言えずじまいになってしまうこともしばしばあることと思います。
そんなときは自分自身なりの方法で伝えることを模索してみましょう。
会議が終わった後にその人に伝える・上司に直接伝えるなどが一般的です。
ただし相手によっては「どうしてあの場で言わないだよ」と思われたり、時間が経ってから伝えたら「なんで今さら言うんだよ」なんてことにもなりかねません。
なので、もし伝えるのであればすぐに伝えるのが基本原則だと覚えておきましょう。
この方法は相手にきちんとその意図を理解してもらわないと伝わりにくいです。
「みんなの前で言うのは苦手なので」「目標を達成するためには・・・」と前置きをしてから伝えるだけでも受け入れてくれる確率は大幅にアップするので、1つのテクニックとして活用することをおススメします。